日本でパンの購入金額が一番多い都市はどこかご存じですか?
総務省の「家計調査(2人以上の世帯)の都道府県庁所在市及び政令指定都市別ランキング(2017~2019年)」によると神戸市が1位なんだそうです。しかし、京都市はそれまでは長年首位に君臨してきました。
和食や和菓子のイメージが強い京都ですが、ハード系やベーグルがメインのお店や、ドイツパンのお店、昭和から続くレトロ系のなど、個性豊かなパン屋さんがたっくさん!
そして、言うまでもなく、京都には訪れるべき数多くの世界遺産が。1994年に「古都京都の文化財」が文化遺産として登録され、17の寺院、神社、城で構成されています。

今回は、京都を観光する方が名所とセットで訪れるのにぴったりな、世界遺産の近くのパン屋さんをピックアップしてご紹介したいと思います。それでは北からスタート!

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下鴨神社の近く 「ナカガワ小麦店」

世界遺産 下鴨神社
世界遺産 下鴨神社

下鴨神社は、「古事記」「日本書紀」でも記述されている京都最古と伝えられる社のひとつで、縁結び、子育ての神様として信仰されています。境内には「糺の森」が広がり、200~600年の原生林が茂り小川が流れます。神聖な雰囲気と自然との調和がほかにはない魅力です。

下鴨神社
ナカガワ小麦店
ナカガワ小麦店
ナカガワ小麦店

その下鴨神社から歩いてすぐの場所にあるのが「ナカガワ小麦店」。
カナダ産の有機玄米をヨーロッパ製石臼で自家製粉した全粒粉を使用し、天然酵母、低温長時間発酵と、昔ながらの製法を守りながら奇をてらわないパンづくりをされています。

コンプレロール

こちらで一番好きなパンは「コンプレロール」(税込150円)!ソフトな食感なのに、素朴でほのかな甘みがあり、滋味があるんです。少しあたためると、そのままいくらでもパクパクいただけてしまいます。

「シナモンロール」(税込180円)には有機全粒粉と有機強力粉のブレンド生地が使われており、口に入れると小麦の香りが駆け抜け、シナモンの風味と溶け合います。甘さ控えめで繊細・上品なシナモンロールです。

シナモンロール
プチ・ルージュ

もちろんハード系も秀逸。「プチ・ルージュ」(税込80円)酵母の量を減らし、低温で長時間熟成しているため粉の甘味が引き出されているのだとか。粉の旨味、甘みがあり、香りも味わいも濃厚!クラスト部分が薄めでパリッと食べやすく、クラムはもっちりと弾力があり、好みの食感♪

「パン・オ・ショコラ」(税込200円)は生地を噛みしめるとサクサクと軽―い食感。中はもっちりとしていて、発酵バターの濃厚な味わいとベルギー産チョコレートのコクが押し寄せます。このコンビネーションは、パンの芸術品と称したい美味しさでした。

パン・オ・ショコラ

いずれも、シンプルだからこそ厳選素材と丁寧な製法の賜物であることが強く感じられる品々でした。

Kyoto Bakery

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銀閣寺の近く 「松」

世界遺産 銀閣寺
世界遺産 銀閣寺

次は銀閣寺近くのパン屋さんです。
銀閣寺は、臨済宗相国寺派の寺院で、正式名を慈照寺と言います。銀閣を指すのは観音殿で、金閣寺の舎利殿(金閣)を模して建てられました。銀閣を含む寺院全体が銀閣寺と呼ばれています。
足利義政が銀閣寺を通して表現した日本庭園の美しさ、「わび・さび」の美学を堪能したいものです。

銀閣寺
松
松

銀閣寺から徒歩7-8分の場所にあるのは「松」です。店舗全面に格子があしらわれた和菓子屋さんのようなたたずまい。オーナーさんがこだわっているポイントは、無添加であることと、具材はなるべく手づくりされていることだそう。食パンにハード系、甘いパンとバリエーションが豊かで、その数約60種!京都らしい要素が加わっているパンが多いのもこちらの特徴です♪

大文字
大文字

「え?」と目を疑うほどにインパクトのあるこちらは、送り火の大文字山を象った「大文字」(税抜230円)。銀閣寺の向月台にも似ています★
抹茶生地がと小豆が練りこまれた和風のブリオッシュです。ブリオッシュって、ぱさぱさなのに妙に脂ギトギトのものもあり、あまり良いイメージがなかったのですが、こちらは密度がしっかりめながらきめ細かく、さっくりとした食感。バターの風味も程よく、小豆も甘すぎず、洗練された京風ブリオッシュというイメージでとても美味しかったです。

松あんぱん
松あんぱん

京都テイスト溢れるパンをもう1つ。なんと、しば漬けを使ったパンなんです!
非常になめらかで優しい甘さの白あんをしっとり白パンが包みコム「松あんぱん」(税抜130円)。
しば漬けの酸味としょっぱさが楽しいアクセントになっています。

いろんな種の入ったライ麦パン

ハード系では「いろんな種の入ったライ麦パン」(税抜260円)が気に入りました。
トーストしていただいてみると、適度な噛みごたえがあり、色々な木の実の香ばしさがたまりません!

ミルクフランス
ミルクフランス

そして一番「好き!」と唸ったのは、「ミルクフランス」(税抜160円)です。私、ミルクフランス好きで、様々なパン屋さんでミルクフランスを見つけると必ず購入・定点観測を実施します。
こちらは、バゲットもクリームも好みのストライクゾーンを撃ち抜かれました!
ハード系が美味しいという口コミに違わず、クラストはパリっと弾むようなクリスピーさがあり、クラムは噛みしめるごとに小麦の美味しさが溢れてきます。クリームは、少し甘さが強めながらも、ミルク感の濃さは至高の一言!お砂糖のじゃりじゃり感が残されているのもたまりません!

訪れる前は、「大文字」の印象があまりに強く、和テイストのパンが中心だと思い込んでいましたが、食したパンのどれもが美味しく、あらゆるジャンルのパンの完成度が総じて非常に高いお店でした。

Kyoto Bakery

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二条城の近く 「kurs(クルス)」

世界遺産 二条城
世界遺産 二条城

少し南下して「二条城」へ。二条城は、徳川家康上洛時の宿泊所として築城されました。
江戸幕府15代将軍徳川慶喜が政権を朝廷に返上する大政奉還がこの城の二の丸御殿大広間で表明されたことで知られています。
二条城には国宝・重要文化財の貴重な建造物が残されており、二の丸御殿の中の華麗な金工細工を施した「唐門」や、狩野派による障壁画、鶯張りの廊下、大広間、庭園など、たくさんの見どころがあります。

二条城
kurs(クルス)
kurs(クルス)
kurs(クルス)

二条城から徒歩約5分。二条小川にあるのが「kurs(クルス)」です。
もともと、様々なパンイベントに出店されていて、パン好きの間では注目を浴びていたお店。
2019年12月に実店舗をオープンされました!

栗と黒糖

一番好きだったのが、「栗と黒糖」(税抜600円)です。
黒糖風味のルヴァンの生地に栗の渋皮煮が入っています。もっちりむっちり感のある生地は、黒糖の風味と甘味が想像よりもしっかりとしていて、そこにこれもまた濃厚な栗の味わいと食感が加わり、黒糖も栗も大好きな私にはストライク!なパンでした♪

「パンオショコラ」(税抜320円)
クロワッサンの人気が高いとのことでしたが、この日は10時の時点で一時売り切れ・・ということで、こちらをセレクト。バターの風味が強くないので、パリっ、ざくっとした食感とともに、黒小麦のものと思われる小麦の強い香りを堪能することができました。

パンオショコラ
クレームオブール

「クレームオブール」(税抜230円)は、しっとりとした密度の高いヴィエノワに、甘さ控えめのバタークリームが良くマッチしています。
個人的には、バタール生地にミルククリームをサンドしたクルスさん流のミルクフランスもいただいてみたいです★

「メルゲーズ(かわきた屋)とじゃがいものピュレ」(税抜560円)
私もとんかつ用のもち豚を買いにうかがうお肉屋さん、紫竹「かわきた屋」さんのメルゲーズ(仔羊肉や牛肉を香辛料を効かせ仔羊の腸に詰めて作る北アフリカ発祥のソーセージ)を使ったバゲットサンド。メルゲーズは少しホットでとってもジューシー!もちろんこれだけでも秀逸ですが、それにマイルドでやさしいじゃがいもピュレと香ばしいバゲットが至福の三重奏を奏でてくれます。これもほんとに美味しい♡

メルゲーズ(かわきた屋)とじゃがいものピュレ

9:00オープンですが、公式インスタによると「すべてのパンがそろうのは10:30頃です」とアナウンスされていたので、10:00に伺いました。しかしなんとその時点で売り切れているアイテムありという人気の高さ!
お休み情報もインスタで発信されています。

Kyoto Bakery

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清水寺の近く 「ニッタベーカリー」

世界遺産 清水寺
世界遺産 清水寺

次は、京都の観光地の代表格「清水寺」へ。
「清水の舞台から飛び降りる」ということわざで知られる舞台は、高さがなんと約12メートルもあるそうです。
そして、清水寺は音羽山の上に建っています。三年坂や五条坂といった坂を上ってお参りをするのですが、いずれの道にも飲食店やお土産物屋さんが立ち並んでおり、「京都に来たな~」と実感されるのではないでしょうか。

二条城
ニッタベーカリー
ニッタベーカリー
ニッタベーカリー

次のパン屋さんは、清水寺から徒歩約15分の場所にある「ニッタベーカリー」です。
こちらは、3姉妹で営んでいらっしゃり、毎日食べても飽きないパンを、適正な価格で提供することをモットーとされているのだそうです。地元の人や外国人観光客からも支持されているお店です。

カレーパン

早速実食です!「カレーパン」(税抜 210 円)は、カレーも自家製にこだわっていて、予約で売り切れてしまうほどの人気商品なんだそうです。揚げたてを持ち帰ったので、形が崩れていますが(笑)
オーブントースターであたためていただいてみると、生地のサクサク感とトローりカレーのコンビネーションが絶妙!カレーは、Hot な辛さは感じないものの、スパイスの風味とコクがしっかりとしていて、満足感大です。

「いちごのフルーツサンド」(税抜560円)
食パンはソフトでもっちもちで、ほんの少しだけ塩味を感じます。軽くてさっぱりとした生クリーム・ほどよい酸味のあるフレッシュいちごをふんわりと受け止めてくれています。パン・クリーム・いちごが三位一体となり、幸せな気分に。

いちごのフルーツサンド
チョコマフィン

「チョコマフィン」(税抜200円)はチョコの風味がしっかり!しっとりとしていて、マフィンっておいしいなあとしみじみ思うお味です。

そしてやはりミルクフランスは外せません。「ミルクバー」(税抜140円)(写真上)、美味しかったです!
チャパタ生地なので、外はカリッ、中はもちっとしています。練乳クリームは、ミルク感とバター感のバランスがGoodでこれまた好みのタイプでした。

「ラムレーズンミルクバー」(税抜160円)(写真下)はほんのりラム風味。ソーテルヌにも合わせていただきたくなりました。

ミルクバー

Kyoto Bakery

5

西本願寺の近く 「ブーランジェリー ルーク」

世界遺産 西本願寺
世界遺産 西本願寺

「お西さん」と親しまれる西本願寺は、浄土真宗本願寺派の本山。
日本最大級の木造建築と伝えられる国宝・阿弥陀堂や御影堂で知られ、その他にも、壮麗な装飾の唐門や飛雲閣など、桃山文化を代表する文化財が多数あり、見ごたえがあります。
こちらのお寺、新撰組の本拠地だったとか。訓練をしたり、作戦を練ったりしていたそうで、なんと境内で豚を飼っていたといも言われています。

西本願寺
ブーランジェリー ルーク
ブーランジェリー ルーク
ブーランジェリー ルーク

西本願寺を訪れたなら、行くべきパン屋さんは「ブーランジェリー ルーク」。白壁にグリーンの暖簾が可愛い外観です。パンを象ったイーゼルのパンオブジェはインパクト大ですね!

こちらを代表するパンと言えば、「カリフォルニア宇治」!“カリフォルニア・ウォルナッツ・コンテスト”という料理コンテストで最優秀技術賞を受賞した逸品です。
宇治産の抹茶を練りこんだ生地にクルミと大納言小豆がちりばめられています。

カリフォルニア宇治

2種類あり、オリジナルはバゲット生地のもので、350円(税抜)(写真左)。
オリジナルと配合を変えたソフトなタイプは180円(税抜) (写真右)。

オリジナルの断面ショー!
密度の高いしっかりとした生地は、小麦とライ麦の全粒粉が使われているとのことで、麦、抹茶、クルミ、小豆など色々な風味と味が楽しめます。

カリフォルニア宇治
カリフォルニア宇治

こちらはソフトバージョン。ふんわりやわらかいので、噛むごとにふわりと抹茶の香りが立ち上がり、想像以上に抹茶が主張してきてクルミと小豆がそこに絶妙のアクセントをつけてくれます。
茶葉をイメージした形が可愛いですね。

「サンライズ」(税抜160円)は、アーモンドクッキーの生地をのせて焼き上げたパンです。店頭のPOPには「通称『メロンパン』ともいいます。」と説明されていました。いただいてみると、これは確かにほぼメロンパン。メロンの香料を使っていないメロンパンですね。調べてみたところ、近畿と四国地方・中国地方の一部ではメロンパンをサンライズと呼ぶ習慣があるらしいですよ~。初めて遭遇しました♪

サンライズ
アルプル

こちらのルークさん、京都イタリアンの名店中の名店“イル・ギオットーネ”さんにパンを卸してらっしゃるそうなんですが、その“イル・ギオットーネ”さんおススメのハード系パンが「アルプル」(税抜360円)です。

イチジクなどのドライフルーツ、クルミなどがぎっしりと入っており、スライスしてトーストしていただくと、むっちり生地と
フルーツ・ナッツのコンビネーションがたまりません!さすがトップレベルのレストランに認められた逸品です。私がこちらのお店を再度訪れて一番買いたいのはこの「アルプル」です!

Kyoto Bakery

5つの世界遺産から歩いて行ける京都の5つのパン屋さんのご紹介でした!
どのお店のパンにも共通するのは、奇をてらわず、適正な価格で、日常の中に溶け込んだパンでありながら、いただいてみるとそのおいしさで幸せな気分になれること。

おいしいパンが朝ご飯に食べられると思うだけでわくわくしながらベッドに入れます。
仕事の合間のランチタイムに大好きなパンがあれば午後のデスクワークにエンジンがかかります。

なかなかお出かけできない今、おいしいパンが私たちに与えてくれるパワーはとってもありがたいものです。
皆さんもお好みのパンとの出会いを通じて、毎日の生活をちょっとたのしくおすごしになってはいかがでしょうか♪

京loco
京loco
京都在住ライター。
和菓子やパン、お酒など美味しいものと美しいものが日々のエネルギーです。